危険な頭痛の見分け方・セルフチェック法)

all about (2023/07/28

危険な頭痛とは? 慢性的な頭痛・片頭痛と異なる頭痛に要注意

今まで経験したことのない急な痛みには注意が必要。急な発症、意識がおかしい、麻痺があるなどの場合はすぐに病院を受診しましょう
一言で頭痛といっても、実は頭痛には様々な種類があるのです。といっても、場所が場所だけに心配になってしまいますよね。
「「頭痛」って病気なの?」で解説した通り、ほとんどの慢性的な頭痛はそんなに心配しなくても良いことが多いのですが、一部の頭痛には命にかかわるものもあります。ですからどんな病気があるのかを知ってくことが大切です。
そこで今回は「危険な頭痛」とはどんな頭痛なのかを解説したいと思います。

頭痛の原因となる危険な病気 ~ 命にかかわるものも

■くも膜下出血
危険な頭痛の代表例でもあるくも膜下出血。脳は「くも膜」という、とても薄い膜で覆われています(オブラートのような膜だとイメージしてください)。その上にさらに硬膜という、やや硬い膜があります。くも膜がみかんの中の薄皮だとすると、硬膜はみかんの外の皮にあたる部分です。さらに、脳は非常に大事なものなので、硬膜の外には頭蓋骨があって、多重構造で脳を守っています。(ガイド注:ちなみにくも膜の下にはさらに軟膜という膜があります。結局、脳は軟膜、くも膜、硬膜の順に3種の膜で覆われているのですね。この3つをあわせて「髄膜」といいます。)
くも膜下出血というのはその名の通り、脳の表面の血管にできた「脳動脈瘤」というコブが破れて、くも膜の下に出血してしまう病気です。
「カナヅチで殴られたみたいに、突然痛み出して(例えば、「何時何分何秒」と言えるくらいはっきりとしたタイミングで)、しかも今まで経験したことのないひどい頭痛」というのが特徴。
こういった症状が起こったら、迷わず救急車を呼びましょう。
■脳出血
脳の中の血管が破れて出血が起こる病気です。みかんで例えると、実の中で出血が起こってしまった状態です。大抵は高血圧が原因です。頭痛、意識がなくなる、吐き気、麻痺などの症状が現れます。もちろんこの場合も救急車です。
■脳腫瘍
脳のなかにできる「腫瘍=できもの」です。軽い頭痛から重い頭痛までいろいろな頭痛をひきおこします。時として吐き気などを伴うことがあります。こう書くと非常に不安になりますが、頻度はあまり多いものではないのでご安心を。CT、MRIでわかります。CT、MRIについて詳しくは「CT、MRIってなあに?」をご覧ください。受診すべき診療科は脳神経外科です。
■慢性硬膜下血腫
お年寄りに多い病気です。しかし若い人でも、「酔っ払ってよく覚えていないけれど、頭を打った」というような場合に見つかることもあります。頭を打った後、くも膜の上、硬膜の下(みかんでいうと薄皮の上、外の皮の下)に血がじわじわとたまってきて(=血腫)脳を圧迫します。
「なんとなくこの1カ月でボケが進んだ」「この2カ月でだんだんろれつが回らなくなってきた」「1カ月でだんだん歩きづらくなってきた」なんていう症状があったら要注意。認知症と勘違いされることも良くあります。
早めに血腫を手術で取り除けば良くなりますので、思い当たるフシがあったら脳神経外科へ。
■髄膜炎
「熱もあるし、風邪っぽいですが、頭も痛いです。首のうしろがなんだか硬くなっています」というのが特徴。脳を包んでいる髄膜にウイルスやばい菌がついて炎症を起こした状態です。診療科は内科です。

その他、目の病気である緑内障、鼻の病気である副鼻腔炎が原因で頭痛が起こることもあります。気になる頭痛がある場合は、以下の「危険な頭痛チェックリスト」でチェックしてみてください。

危険な頭痛の見分け方・症状チェックリスト ~ 該当する場合、すぐ病院へ

一言でいうと「急で激しい頭痛、意識が変だったり麻痺が見られたりした場合は、すぐ病院へ!」ということを覚えておいてください。詳しくは下記のチェックリストをご覧ください。
もちろん、片頭痛で吐き気を伴うこともありますし、必ずしもこういった頭痛がすべて取り返しのつかないものであるとは限りません。しかしやはり「痛みの強さがひどいかどうか、突然かどうか、だんだん悪くなるかどうか、神経症状(記憶障害やけいれんなど)があるかどうか、発熱があるかどうか」また「頭を強く打ったことがあるかどうか」「早朝に痛むかどうか」といったことが重要なポイントになりますのでご参考に。

■危険な頭痛チェックリスト


以上のような痛みが生じた場合は、必ずすぐに病院を受診してください。