急に我慢できないほどの尿意をもよおしたり、頻尿になったりする「過活動膀胱(ぼうこう)」の20歳以上の人は、推計1250万人にのぼる。そんな調査結果を日本排尿機能学会がまとめた。トイレに何度も行きたくなり、仕事や睡眠が妨げられるなど生活に支障をきたす。医療機関を受診している人は一部にとどまり、専門家は「年齢のせいと諦めずに病院に相談してほしい」としている。
2023年5~6月に全国の20~90代の男女を対象にインターネットで実施。尿についての症状や生活への影響、医療機関への受診状況などについて尋ね、計6210人から回答を得た。
その結果、我慢できないほどの尿意や、1日8回以上の頻尿、トイレに間に合わず漏らしてしまうといった過活動膀胱の診断基準に当てはまる人は、20歳以上の11・9%、40歳以上では13・8%だった。国内の人口に換算し、それぞれ1250万人、1080万人という推計になった。
過活動膀胱は、膀胱が縮み、過敏に働くことで起こる。急に尿意をもよおし、漏らしてしまったり、昼も夜も頻尿になったりする。
女性は加齢や出産で膀胱や尿道を支える筋肉が伸び、弱くなることで起こるとされている。男性は前立腺肥大症によって、尿道が圧迫され、膀胱に負担がかかって起こることが多い。
命に関わる病気ではないが、高齢者などでは生活への影響が大きい。外出先にトイレはあるか、漏れないかといった不安から外出を避けるようになると、体力が落ちる。就寝後にトイレに起きると熟睡できず、転倒の危険性も高まる。
学会の調査では、回答者の77・9%が頻尿や、我慢できないほどの尿意、尿漏れなど、尿に関する症状を抱えていると答えた。ただ、症状がある人のうち、現在、医療機関にかかっている人は4・9%にとどまった。
学会理事長の高橋悟日大教授(泌尿器科)は、「薬だけでなく、訓練などの行動療法でも改善が期待でき、治療の選択肢も広がっている。生活に支障がある場合は恥ずかしがらずに医療機関に相談してほしい」と話している。(土肥修一)