自律神経の乱れをツボで解決!不調を放置すると筋肉・内臓・滅圧・免疫力などにも悪影響が。お腹の上部にあるツボで、ストレス状態をチェック!)

婦人公論.jp (2022/12/22

 コロナ禍における制限、SNSなど過剰な情報の氾濫、異常気象…と、心身に多大なストレスがかかる状況が続いています。目白鍼灸院院長の柳本真弓先生は、「それらが自律神経に影響を及ぼした結果として、体調不良を訴える人も増えている」といいます。特に「なんとなく不調が続く」と感じている場合、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている可能性が高いと先生は指摘しております。

◆交感神経と休息やリラックスの副交感神経

 自律神経のバランスとは、具体的にどのようなことをいうのでしょうか? 簡単にまとめると、「メリハリ」です。
 人間は大雑把にいうと、朝に目覚め、昼に活動し、夜に睡眠をとるというサイクルで生活しています。活動を司る交感神経は、主に昼の活動に適したコンディションに整えるために働く神経といえます。
 活発に動くために心拍数を上げ、呼吸を速め、血流を促すために血管を収縮させます。活動中に食事や排泄の必要はないので、胃腸の働きを抑えます。
 副交感神経は逆に、夜の睡眠に向かって働く神経。ゆっくり呼吸をし、心拍数を落としてカラダを休ませる方向に整えます。活発に動く必要はないので血管はゆるみ、食事のために胃腸の働きは活性化します。
 この緊張と緩和という2つの働きが生活のリズムにマッチしていれば問題なく過ごせます。しかし、昼夜が逆転したり、ストレスや生活環境に変化があったりすると、自律神経のミスマッチが起こります。
 そのような状況が続くと、やがて不調につながるのです。緊張しすぎてもゆるみすぎてもダメ。やはりバランスが大事ということです。

◆自律神経のバランスが崩れるとなぜ不調に?

 副交感神経に偏りすぎると、無気力などを招くこともありますが、自律神経による不調のほとんどは、交感神経が過剰に働いてしまうことにあります。
 活発さ・活動を司る交感神経は、同時に危機や不安といった緊張状態に反応する神経でもあるためです。
 心的ストレス、極端な天候、乱れた食生活や習慣、運動不足など、いろいろな外的要因によって、気づかないうちに交感神経優位に偏ってしまうことが多く見られます。
 それが一時的なものであれば、メリハリの範疇に収まりますが、長く続くようであれば、心身に不調が現れるようになります。
 慢性的な血流の低下、ホルモン分泌バランスの乱れ、血圧の上昇、内臓の機能低下、免疫力の低下など、体内の生理機能にさまざまな異常が生じてきます。
 さらには、内臓-体性反射などの影響で、周辺筋肉がカチカチに緊張したり、姿勢が崩れて思わぬ場所に痛みを感じたりするようになります。最初は微妙な変化かもしれませんが、それが持続することで症状が悪化し、別の不調に連鎖していくのです。

◆バランスが崩れることで起こる体の不調

●ホルモン分泌バランスの乱れ
 交感神経は副腎という臓器に働きかけ、ホルモン分泌を調節。興奮系の神経伝達物質や、ストレスホルモンなどが過剰分泌されるようになります。
●筋肉の過緊張
 自律神経反射などの影響によって、内臓の機能低下といった情報がカラダの表面にも伝わり、筋肉の緊張やコリを招きます。
●内臓の機能低下
 交感神経には、胃腸の働きを抑制する働きがあります。一時的なら問題ありませんが、持続的になると便秘や下痢などの症状につながります。
●血流低下
 交感神経が優位になると、血管が収縮。持続的になると、慢性的に血流が滞り、酸素や栄養の供給、老廃物の排出などに問題が生じます。
●血圧の上昇
 交感神経は血管を収縮させて心拍数を増やすため、血圧が上昇します。また、呼吸も浅くなるので、さらに血圧上昇に拍車をかけます。
●姿勢の乱れ
 内臓機能が低下したり、筋肉の過緊張を招いたりすることで、猫背など姿勢が乱れてしまうことも。逆に不良姿勢が交感神経に影響する場合もあります。
●免疫力の低下
 交感神経が優位になると、異物を処理する白血球の一部(顆粒球)を増やしますが、逆にリンパ球の数が減少。過剰に偏ると免疫力は低下します。

 自律神経のバランスが崩れ、リカバリーできずに持続的にその状態が続くと、心身に異変が現れるようになります。その異変は、特別なことではなく、自律神経の本来の働きによるもの。慢性的に偏った状態になることで不調となるのです。

◆毎日チェック!自律神経を整えるツボ

 自律神経を整えるツボを毎日刺激し、不調になる前に予防しましょう。また、これらのツボが硬くなっていたり、痛みを感じたりしたら不調のサインです。毎日観察することで、心身の健康状態をチェックすることができます。

●鎖骨の下〈中府(ちゅうふ)〉
 まずは呼吸器系のチェックです。交感神経に偏ると、呼吸が浅くなり、胸が閉じて猫背になりがち。ツボをピンポイントで狙わなくてもよいので、鎖骨下の周辺をほぐします。呼吸がラクになり、胸が開いて姿勢の改善にも。
●お腹の上部 〈中(ちゅうかん)、日月(じつげつ)、章門(しょうもん)〉
 お腹の上部のツボでストレス状態をチェックします。章門と日月はストレスやカラダのゆがみ、中は胃に関連するツボ。お腹の上部が硬くなっている場合は、内臓機能や免疫力に注意です。

※本稿は、『なんとなく疲れる・つらい・痛いを解消する「ツボ」図鑑-自律神経ひとりメンテ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

柳本真弓