東洋医学では「生理痛」にどう対処する? 2つのタイプがある【東洋医学を正しく知って不調改善】)

日刊ゲンダイDIGITAL (2023/02/22

 東洋医学では「痛み」を大きく2つに分類しています。それは、気・血・水のめぐりが滞って生じる「不通則痛」と、気・血・水が不足するために生じる「不栄則痛」の2つです。
 医学的に「月経痛」と呼ばれる生理痛は、生理の前から生理中にかけて見られる下腹部痛や腰痛を指します。
 生理前から痛みが見られ、胸やお腹が張り、レバー状出血が見られる場合は「不通則痛」に属する痛みであり、このタイプに効果のある漢方薬は「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「折衝飲」となります。
 また対処するツボとしては足首あたりの「三陰交」や、下肢の脛骨内側の「地機」があります。
 一方、普段から血色が悪く疲れやすさなどが見られ、生理が始まってから痛みが出現し、生理の出血自体は少ない場合は、主に血の不足が原因と考えられる「不栄則痛」。漢方薬としては「当帰芍薬散」「帰脾湯」。ツボとしてはへその真ん中の下にある「関元」と、膝上の内側にある「血海」などが挙げられます。
 他にもこの「不通則痛」と「不栄則痛」が入り交じるタイプの生理痛もあり、その場合は上記漢方薬を2処方以上服用したり、腰背部のツボをも加えたりします。
 ただ注意しておきたいのは、重症の生理痛の中には子宮筋腫など何らかの病気があって起こる「器質性月経困難症」があるということ。その場合は痛みを止める治療と並行して、原因となっている病気を治療する必要があります。
 また生理痛を悪化させる因子とされている運動不足、冷えやストレス、喫煙などは意識して日頃から避けることも大切です。

(王瑞霞/医学博士、中医師、鍼灸師)